MENU

うまくいかない要件定義① – ステークホルダー毎の都合 –

前回の章では、要件定義は非常に重要なフェーズだと、述べましたが、ではそれがわかっていながらなぜうまくいかないのか、そして要件通りに進行することができないのでしょうか?

そこにはいくつかの理由が複雑に絡み合ってうまくいかないケースが多いです。

今回からその要因を一つ一つ見ていこうと思います。

▼前回の記事

目次

ステークホルダーごとの過程が異なる

まず前提として押さえておかなくてはいけないことは、『Web制作の現場では「目的」は同じでもステークホルダーごとに理想とする「過程」が違う』ということです。

「1つのWebサイトやアプリを公開する!」というゴールは同じでも、そこにたどり着くために重要視するポイントは立場によって様々です。

例えば…

・クライアント → より安く早くいいもの作ってほしい

・代理店・営業担当 → 安い値段で早くいいものを作らせたよ!をクライアントにアピールしたい

・Webプロデューサー・ディレクター → しっかり仕様を固めたうえで、現実的なスケジュールで進行したい。プロジェクトを炎上させるわけにはいかない。でもいいものを作りたい。

・プログラマー → 少ない工数にしたい。フワッとした仕様じゃ作れたもんじゃない。でもいいものを作りたい。

一つずつ見ていきましょう!

また注意していただきたいのは、「誰が悪い!誰が間違っている!」というのを言いたいのではなく、「それぞれの立場によっていろいろ考えることがあるんだよ」というのを理解していただければと思います。

クライアントの重要視するポイント

いわゆる「発注者」。欲しいWebサイトやアプリをベンダーに発注する立場です。

発注者はお金を投資して何かを作ってもらうように依頼するわけですから、当然安く、そして早く作ってもらうに越したことはありません。

また、クライアント社内でも政治があり担当者レベルの方と、決裁者レベルの方がいます。例えば、担当者の方は決裁者の方にお見積もりや機能について説得するような役割をすることがあり、そこの流れをスムーズに行いたいと思うはずです。

そしてその会社の名前でサービスを打ち出していくことになるので、不具合やバグは許されません。

広告代理店・営業担当が重要視するポイント

ざっくりと言えば、クライアントから「いくらお金をもらうか」を決める人たちです。そしてWeb制作の現場においてクライアントとのMTGに赴くのは主にこの広告代理店・営業担当の方と、後述のプロダクションのプロデューサー・ディレクターの方になります。

広告代理店や営業担当はどちらかというと、クライアントよりの立場になります。

彼らとしてはプロジェクト進行の中で、いかにクライアントから評価をされるかが重要です。そして彼らは最初に述べたように、お金の取り仕切りをします。

つまり、「いかに安く・早くプロダクションにいいものを作ってもらうようにコントロールしたよ!」というのがアピールポイントになります。

また、次回に詳しく書きますが広告代理店というのは非常に特殊な組織です。その組織内の政治をいかに円滑に回すか…というのに実は広告代理店の方は一番苦労しているのかも知れません。

Webプロデューサー・ディレクターが重要視するポイント

要件定義を主に作成する立場であり、Web制作の現場を回していく人です。

プロデューサー・ディレクターもクライアントと制作現場の間に立ちますが、広告代理店や営業担当よりもプロダクション側の立場となります。

「あるべきお金や工数であるべきものを作る」。そして案件をスケジュール通りに進行する。これが我々プロデューサー・ディレクターの考える理想的な過程です。

制作現場のプログラマーが重要視するポイント

実際にWebサイトやアプリケーションを作る人たちです。

要件がしっかり定まっていないと、どのように作ればいいか彼らはわかりません。
また、「実装するにあたり、適切な工数であるか。」、「その仕様は実装することが可能なのか。」
細かい仕様の部分の整合性にほころびがないかを重要視します。

まとめ

・要件定義は重要だと理解していてもうまくいかないケースが非常に多い

・ステークホルダーごとに目的は同じでも、そこにたどり着くまでの理想とする過程がそれぞれ異なり、齟齬が生まれてしまう。

次回からは具体的にどのような問題が出てきてしまうのかを見ていきたいと思います。

よかったらシェアしてね!

コメント

コメントする

目次
閉じる